第48回医療研究全国集会WEB集会

基調報告

国民と広く連帯し、患者・地域住民と医療・介護・福祉労働者の人権・いのちの尊厳を守ろう

6月12日(土)-13日(日)第48回全国医療研究集会がWEBで開催されました。1日目は記念講演と基調フォーラム、2日目は地域医療、看護、精神、介護等8つの分科会に分かれてレポート報告とWEBで交流しました。

人権としての社会保障」構築のための取り組みと課題

京都府立大学・村田准教授

京都府立大学の村田隆史准教授より、「社会保障を削らないと財政的に厳しいと思い込ませ、社会保障を儲けの手段とする(営利化)、自立を促し受けさせないようにするなど、社会保障を削る手口が巧妙となっている。「公助」と言うと、助けてもらう、恩恵という意味合いが強くなる。求めるべきは、補償であり「公的責任」。最低限度の生活保障は国の責務。自助を前提とした社会保障になっていることはおかしい。」と話しがありました。

1日目の基調フォーラム

「コロナ禍における医療・介護・福祉をめぐって」 

基調フォーラムでは、佛教大学の横山壽一教授をコーディネーターに、医療・介護・福祉の分野から3人のパネリストより話がありました。「感染が大きな波とならないようコントロールするには、政府の公的責任が重要。「お願い」が中心になる日本では、政府への信頼度が大きく関わるが、残念ながら低い。東京五輪が判断を遅らせる要因の一つとなっている。」と話がありました。

長友薫輝教授

【医療分野から】

専門家の意見を尊重しない政府。可能な限り、科学的根拠を集めて判断するべき。一旦決めたことを覆せない。失敗を認めない社会。科学的な知見よりも雰囲気で判断する傾向にある。ワクチンを打てば大丈夫など、目を別のところへ向けようとしている。

【介護分野から】

曽我千春教授

介護事業所はクラスターが発生するリスクが高い。介護スタッフは十分な感染対策知識がないまま対応にあたる。慢性的な人手不足と経営難、平時で起きている問題が、非常時で浮き彫りに入院できずに施設で亡くなる方も。

日本障害者センター・山崎理事

【福祉分野から】

障がい者の中では他の薬剤との関係で健康被害が起きても、ワクチン接種との関係がわからず補償がされないことが心配されている。生産性が低い人、支援を要する人への差別・排除。ここを問い直す必要がある。

2日目はテーマ別に8分科会が行われました。愛知から参加した2つの分科会について、参加者の感想とともに内容を紹介します。

【介護分科会】

レポート報告

白梅学園大学・森山教授より「科学的介護の推進とICTの応用-現状と課題-」のテーマで学習講演があり、あずみの里と介護施設夜勤実態調査の指定報告と、レポート報告がありました。

なごや福祉施設協会労組のお2人より、デイサービスでのフットケアや栄養・社会生活に対する取り組みなどのレポート報告がありました。

【地域医療分科会】

長友教授から問題提起があり、京都・「住民の砦、みやま診療所存続の取り組み」や、長野・424名指し病院について韓国から取材のあったこと等が報告されました。レポート報告とそれに対してのグループ討論を交互に行い、交流しました。

現場の看護師より、「コロナでもあたりまえの看護を~新型コロナ専門病棟看護師の苦悩とチャレンジ」と題して報告がありました。「陽性患者さんとの接触を少なくしようとすると、廃用して体が弱ってしまう。求められる距離の違う、隔離とケアの間に生じるジレンマも。コロナ患者は重症度・看護必要度が高く人員が多く必要。しかし、看護師の数が増えるわけではなく、夜勤回数が増える。月14~15日に休みを増やして負担軽減を図り、退職者は出ていない。パンデミックとなり一年経っても社会的課題が多い」と話がありました。

全医労愛知地区・長尾書記長

全医労愛知地区・長尾書記長より「地域医療構想を先導する病院再編の動き」のテーマで、名古屋市立病院の大学病院化など、地域住民に知らせないまま必要な医療が削られていると話がありました。

県医労連・矢野書記次長より「五輪より、いのち守ることを最優先に」の題でTwitterデモや看護の日、新たな「看護師まもろう」署名の取り組みを報告しました。

【感想】

・現在の問題点などわかりやすく、とても良い経験になりました。

・貴重な体験をさせて頂きました。WEB開催で参加しやすかったです。

・ICT、IOTの推進も必要、あってもよいものが多いですが、人の暖かさも必ず必要と再認識させられました。

・全体会⇔分散交流が交互にあったことで、発表の内容について意見交換できてよかった。交流の時間が足りないくらいで、他県の取り組みをもっと交流できる機会があるといいと思いました。

公開:2021年6月18日   カテゴリー: