第37回愛知医療研究集会ーコロナ後にどんな社会を目指すのかー

無関心ではない生き方をどう選ぶか

会場の労働会館 オンライン併用で開催

 5月30日、第37回愛知医療研究集会を開催。オンライン併用で行い、7組織47名が参加しました。講演はフォトジャーナリストの安田菜津紀さん。講演後はzoomと会場で3つに分かれて分散会を行い、講演の感想やコロナ禍での職場実態を交流しました。

安田菜津紀さん

安田菜津紀さんは、「紛争地、被災地からの声を伝える-コロナ後にどんな社会を目指すのか-」をテーマに、ご自身の写真を紹介しながらオンラインで講演。安田さんの、想像力をかきたて、惹き込まれるような話し方で、カンボジア〜名古屋入管〜シリア〜陸前高田の被災地を時間と空間を越えて旅をしたような気持ちになるお話でした。陸前高田で医師をしていた安田さんの義父が病院の4階まで津波が押し寄せる中、エアマットにしがみつきながら

手動で人工呼吸を続けた話は衝撃的でした。「自分たちのことを本当に苦しめてきたのは、爆弾を落としてきた勢力でもイスラム国でもなく、世界が自分たちのことを無視しているということ=無関心だ」というシリアの女性のことば。無関心ではない道をどう選ぶか?考えさせられるお話でした。

 マスコミが報じない真実を伝えてくれる、安田菜津紀さんのようなフォトジャーナリストの存在は貴重です。安田さんの団体「Dialogue for People(ダイアローグフォーピープル)」では活動を支えるための寄付を募集しています。詳しくは、サイトをご覧ください→ https://d4p.world/

特別報告 全医労豊橋での夜勤点検のとりくみ

全医労豊橋・藤井書記長

 全医労豊橋支部の藤井書記長が、「夜勤点検」の取り組みについて報告。団体交渉で、安全衛生委員会の資料として名前を隠した状態であれば病院より勤務表を提示してもらえることを勝ち取り、毎月末に勤務表が出たらすぐ、6連勤がないか?夜勤回数は?年休数は?などをチェックし、問題があれば副看護部長に報告し訂正してもらうようにしていると報告がありました。「病院にも組合員にも、より良い職場環境にするため、組合は常に見ているというアピールになる」と藤井書記長。他組合からは「勤務表をもらえるのがすごい」「うちもマネしたい」と感心の声が聞かれました。

基調報告 労働条件改善と、医療介護制度改善を活動の両輪に

愛知県医労連・矢野書記次長

 県医労連・矢野書記次長より基調報告があり、40年間の医療研運動のあゆみや、6/12-13全国医療研への参加呼びかけ、この間のコロナ禍での介護や看護のアンケート結果、「#看護師の五輪派遣は困ります」ツイッターデモや、記者発表、アピール行動の取り組みなどを振り返りました。新たに#看護師まもろうオンライン署名と相談会を始めたことを紹介。さいごに、働き続けられる職場、よりよい医療介護福祉制度を作るため、職場で地域で組合の仲間を増やそうと呼びかけました。

分散会で交流

会場とzoomに分かれて分散会

 会場とzoom参加者に分かれ、感想や職場実態を交流しました。安田さんの講演については、「無関心がひとを追い詰めるという話が印象に残った」「シリアの人口の半分が難民になっているとは知らなかった」「名古屋入管での人権侵害を繰り返してはいけない」「コロナ禍で海外取材に行けない中、現地の人の発信力を鍛える、発信する人を増やすことが大事だと思った」など感想を出し合いました。

 職場状況では、コロナ禍でのワクチン接種などさらに業務が増え、負担が増していたり、夜勤回数が増加している状況を情報交換。「人が足りず新人指導もできない」「訪問看護や介護施設はワクチン未接種」「介護の訪問系はPCR検査の実施がなく、クラスターが心配」「いのちの選別というが、コロナになっても入院できない状況は深刻」など不安が出されました。「医療研は、感じたこと、日頃の職場のこと話ができてとても大切で医労連ってやっぱりいいなぁ。」といった声も聞かれ、コロナ禍ですが、繋がりを絶やさず交流する大切さを感じる会となりました。

公開:2021年6月6日   カテゴリー: