第21回介護セミナー 人生のリハビリには「参加」が大事ー2023.12.03 

人生のリハビリには参加が大事

講師の田邉望さん

 愛知県医労連は12月3日(土)、第21回介護セミナーを開催。会場18名・zoom3名の計21名が参加しました。
「ととのや~障がい当事者とつくるお宿~人生のリハビリテーションとは」をテーマに、金沢医科大学リハビリテーション医学科の田邉望医師より講演を頂きました。

人生のリハビリテーションは、楽しむためのもの

【講演の概要】

 長寿化で、日本では、病気や障害で何らか人に頼って生きる期間が平均10年ほどある。病院のリハビリは「治すためのリハビリ」で麻痺や筋力低下などの機能にとらわれがちだが、機能回復には限界がある。

 病院の中のリハビリより、退院した後の生活の方がずっと長く、大切なのは、「参加・QOL」。病院の外のリハビリは「楽しむためのリハビリ」。参加の再獲得が重要。病院の外で自然の中で継続的にリハビリできる場、楽しみの再構築ができるようなところを作りたいと、47歳で脳梗塞となり障害を負った「司さん」と民宿を始めた。

 司さんは会社の専務で仕事に戻ることを目標にリハビリしてきたが、高次脳機能障害もあり戻れなかった。

 農家民宿「ととのや」は、医療者・障害当事者・地元の農家さんが一緒に運営している宿。継続する・飽きられないためには本物でなくてはいけない。ADL≠QOL、ADL が100 点になることがQOLが100 点になることではない。

◆講演の中で、ととのやを取材したテレビ映像を視聴。

 司さんと同じ左麻痺の女性が退院後初めての旅行でととのやを訪れるため、司さんがベッドや椅子の配置を実際に試して考え、畑での収穫体験も車椅子や杖歩行で一緒に行い、女性ができることが増えていく様子が映されていました。

 参加を再獲得し、次は他の人の参加を広げるお手伝いをしている司さんの笑顔が印象的でした。

特別報告

利用者さんとのお庭づくりの取り組み

なごや福祉施設協会 永田さん

 デイサービスの荒れた庭を利用者さんと一緒に開拓し、花や野菜を植えた稲垣さん。

 園芸活動を行う中で、利用者さんの楽しみになり、デイに行きたいと思ってくれるようになった。

 生活の視点からアプローチすることが大事ではないか。 採れた野菜を子ども食堂に提供し、地域社会とのつながりにもなった。

なくせワンオペプロジェクト取り組み報告

北生協労組 小島さん

 施設で夜勤中に職員が倒れて亡くなるという事件があり、取り組みを始めた。

 ワンオペ夜勤中にコールが重なると、優先順位をつけて対応しないといけない。転倒があると責任を感じ、介護の仕事を離れる人も。

 1 月までに夜勤実態アンケートを集め、厚労省に届けたい。

しゃべりば

 その後のしゃべりばでは、2グループに分かれて感想や、職場の悩みなどを交流。

 「ケアマネが足りずケアマネ難民が生まれている。」「若い障害者の方が高齢者のデイサービスにそぐわない。外出支援が難しい」「医療機関だとその先のバトン先を考えていけるといい。介護だとイベントや農業体験できるといいが、コロナ禍で難しい。」などの意見が出されました。

 最後に、永田副委員長より、「人生のリハビリ、組合のリハビリも必要。田邉先生のお宿に行ってみんなで語り合いたい」と閉会あいさつがありました。

【寄せられた感想】 ※一部抜粋

・日頃、自宅とデイサービスのほかはどこへも行かないという高齢者が多いです。ととのやさんのような取り組みは今後も更に必要になると思いました。


・急性期にいるため、生活の視点がいつも不足しているなと改めて実感し、少しでも「参加」につながる看護を患者さんと一緒に考えていけたらとおもいました。ぜひ宿泊もしてみたい!

公開:2023年12月12日   カテゴリー: