介護セミナー報告~いのちと人生のものがたりに寄り添って~

佐藤伸彦先生

愛知県医労連は11月29日(日)、第18回介護セミナーを開催。会場24名・zoom6名の計30名が参加しました(7組織26名+一般3名+講師)。

介護の制度や待遇は署名で少しずつ改善させてきた

「いのちと人生のものがたり~その人らしさに寄り添って~」をテーマに、富山県砺波市の「ものがたり診療所」所長の佐藤伸彦医師がオンラインで講演。動画や写真をふんだんに使い、あったかい視点の講演に、参加者は感動の涙涙でした。

 永田副委員長は開会あいさつで、「5月の医療研究集会で佐藤先生をお呼びしたかったがコロナで中止となった。それでもどうしてもお話を聞きたいと思い、今日実現できてよかった」と紹介しました。

小島副委員長より基調報告として、この間の活動報告や、主な取り組みの振り返り、介護特定処遇改善加算の取得状況、コロナ禍での介護施設へのアンケート結果・いのち署名で紹介議員が増えていること、県交渉を行いコロナ禍での衛生資材の確保・PCR検査の定期実施・医療介護施設の減収補償・介護報酬引き上げを要請したことなどを報告しました。

その人の人生のものがたりに思いを馳せよう~佐藤伸彦医師の講演概要~

・はじめは救命救急医をしていた。生命体としての「命」を救おうと一生懸命だった。でもそれだけでは救えない命があると思った。

・「漢字の命でなく、その人がものがたるひらがなのいのちに想いを馳せてほしい」  いわゆる寝たきりの「自分で目の前の景色を変えられない方」にどう関わるか?その人の人生に想いを馳せる。

・患者さんの言った言葉を、多職種みんなが付箋に貼って1人ずつの紙に貼る「ものがたり付箋」その解釈はしない。

小島副委員長

・文句ばかり言う家族がいた。「その人や家族がなんでそうするのか理解したい」と、その人の生きてきた歴史を写真と音楽で動画にした。

・死ぬ時は家がいいという方は多い。「死ぬために家に帰る」それを支援するのも医療。在宅で最期を看取る家族も安堵感の表情。3日間家族が付き添ってマッサージしたり楽しく見送った。

・106才の女性、「遺影の写真がない」と娘さんが言うので、遺影撮影会をした。スタッフから縁起でもないと反対されたが、先生も一緒ならいいよと言われ、自分の遺影も撮った。

「ものがたりの街」には、診療所、訪問看護、ヘルパーST、居宅、喫茶店など色々あります。患者さんが落ち葉を掃除してくれ、喫茶店でお礼にお茶を飲んでもらったら、手作りのコロッケをくれる。そんなところ。近くに来られた時はぜひ寄ってください。    

講演後は質疑応答として感想なども出し合い、交流しました。

【感想文より】「その人のものがたりをもっと知るべきであると、これからの業務に活かすきっかけをいただきました。」「人の死を生活の中に戻してあげる、いのちとの向き合い方を改めて学べたと思います。先生もとても悩んできた事で得た話はすばらしかったです。」「先生の講演で、最初の写真のいわゆる寝たきりの方を「自分で目の前の景色を変えられない方」と先生が紹介していたことにまずもって感銘しました。すごく良かったです。見学に行きたいです。」

公開:2020年12月21日   カテゴリー: