【10.01.22】091201秋闘速報30 看護職員需給見通し愛知県交渉

愛知県看護師10万人体制づくり・医師確保、地域医療を守れ-愛知県に要請

◆ 県は医師不足、看護師不足解消に責任をもて!
◆ 県は7対1看護基準・新設で破綻した計画を見直せ
国会請願採択(07年7月)に基づく

愛知県看護師10万人体制づくりを
交渉団で要請

県知事宛署名を提出
県は3万人の重みを受け止めて!

(写真 愛知県看護師10万人体制要求の署名を提出する
    第2次提出分 3万筆を県に手渡す・・)

<交渉・概要> 

 愛知県医労連は9月に提出した「2010年度予算策定に
あたって医師・看護職員の確保に関する要求」に基づく
愛知県交渉を11月25日(水)午後3時00分から5時まで
自治センター3F会議室Bでおこないました。
 愛知県から医務国保課看護対策グループ河合課長補佐
・佃主査・医療対策グループ緒方主査の4名が出席し
愛知県医労連・鈴木委員長が挨拶し交渉に入りました。
 県回答では「看護職員需給見通し抜本見直し」要求に
対し『現在、看護職員需給見通し策定の前提になる県内
医療機関に対し調査中。次期計画も良い物を作りたい』
とし、交渉団のきびしい職場実態と訴えを受け『検討会を
開催して、しっかり論議する』同時に『看護職員確保法の
月最高8日以内が守られていない実態の解消と7対1基準
による需要増を新計画を策定する場合の1つの検討材料
とする』ことを表明しました。
(=現在の第6次見通し→2010年3月末迄に1万人増員
愛知県内・看護師増数を、6万6000人とする計画です) 

 ※ その他の要求に対する回答は、別途記載。

今回交渉の重点要求は(1) 愛知県内・看護師10万人体制を確立するため「第7次・愛知県看護職員需給見通し(2010年12月策定予定)を抜本見直しさせ、予算増を含めた大幅増員計画を作らせること (2) 医師不足解消のため愛知県が確保のために具体的な施策と必要な予算増を講じさせ、必要な地域に医師を確保させること。 (3) 公立病院ガイドラインの押しつけはさせず、地域の公立・公的な医療機関の存続と発展の施策を講じさせること、の3点でした。

<1> 愛知県内看護師10万人要求に対する愛知県の回答は、
極めて不十分! 参加者より厳しい実態と行政責任を追求する発言が続々と

 まず始めに愛知県から、要求書に対する回答がされました。
具体的には、(1) 愛知県が独自施策としてこれまでも実施してきている、定着離職防止対策としての2点「新人教育のための出張研修(=200床未満病院)」「カムバック研修」を継続実施すると表明。 同時に(2)「看護職員・需給見通し」の策定への準備状況が紹介されました。現在、県内医療機関への(「基本情報」「就業状況」「今後の配置計画」)、意向調査を進め、県としては2月又は、3月までに国へ報告する運び。その後の対応は、国からは県と国が4月以降、報告をもとに詰めの作業に入ると指示があったと表明。
 また、各都道府県の計画策定にあたっての愛知県としての基本姿勢では、愛知県として「検討会」を開催し需給見通しの策定作業に入るとし、独自判断で幅広い関係者の意見を聞くことが表明されました。一方で今回、厚生労働省が事前調査で需給見直し策定の前提になる「労働条件項目」が削除された調査用紙は、そのまま配布され労働条件改善の検討が行われるかどうか危ぶまれ、策定にあたっての愛知県の「考え方」が全く回答されなかったことをめぐって紛糾しました。

参加者から、厳しい求人状況や深刻な看護労働の実態が語られる・・・・
(1) 第7次計画を県内10万人以上に!といった要求に関する発言では、「医療機能上からも7対1看護の取得が要望だが、まったく見通しが持てない(豊橋市民病院、社会保険中京病院)」、と、愛知県が行政責任として策定した愛知県医療保健福祉計画で指定の4疾病5事業「拠点病院」でさえ、看護師確保が出来ない看護師不足がっうったえられました。
(2) さらに、「2009年愛知県医労連・夜勤実態調査」の結果から、全国平均の9日夜勤者が2割に対し、愛知は違反率が37%という衝撃的な調査結果に対しても、策定作業で解消の表明がされないことに対する怒りの発言が相次ぎました。「組合があっても、法律なのに夜勤の月8日がまったく守られない、圧倒的な民間病院では、看護師が働き続けられない(国立東尾張、南医療生協)」
(3) 現場の配置人員そのものを改善させて欲しいといった要求では、「(7ヶ月目の新人ナースから)早くも同期の仲間が4人も退職した。原因は人手不足、毎日がクタクタで倒れそう。先輩ナースはもっと大変なんとかしてほしい(豊橋市民)」「年休も充分とれず、子育てなどはとても無理な実態(南生協)」
 看護職員需給計画の見直しは、300床以上の中核病院はすべて7対1が取得できよう、10万人体制を要求
 愛知県は。8日夜勤の法違反解消、7対1看護新設以降の人手不足解消の2つの点で需給見通し策定の考え方の検討材料とすることは了解を表明

 以上の発言が続く中で、交渉にむけて、愛知県医労連としては以下の点で調査や資料を作成して、抜本見直しの必要人員が10万人であることを追求しました。これに対し、愛知県は「法違反の現状も理解できる、人員確保が出来ない現状が離職を食い止められない原因と認識している」と表明しながらも、「必ず、要望が改善できるとは言い切ることは難しい・・・」とし前進回答がされませんでした。
 そのため、交渉では「計画作りには、調査だけでなく、どんな計画にするかの考え方が内容を左右する、少なくとも訴えを検討してほしい」との内容には、了解の回答をえました。

<資料作成し、データで追求した3点>

(1)県下の300床病院(地域の急性期を担っている中核病院)のすべてが7対1看護基準を取得するための必要人員を積算(注-1)
(2)さらに、国の指導に従って全国都道府県で計画されている「愛知県地域医療保健計画(4疾病・5事業)(注-2)」で、7対1看護取得病院数を調査し、取得は、拠点病院でさえ、ようやく5割の驚くべき実態が明らかになりました。
(3)夜勤実態調査(2009年度、愛知版 注-3)結果から、法律の月8日以内で9回以上の夜勤者が平均で「4割近く」に昇る異常な法違反の現状を明らかにして増員計画を立てるよう迫りました。

(注-1、-2)急性期病院・300床以上の県内66病院での7対1看護取得を保障する看護職員需給計画に見直すべき・・・・4疾病・5事業の国民病対策、保健・災害対策等の拠点病院が、7対1看護がわずか5割では機能しない!県は、医療保健計画の実行に責任持つ立場からも、10万人看護体制で見直しをはかれ!
 愛知県需給見通しでは、計画が終了する2010年には県内看護師数は約6万6千人に増加させる計画で、そのうち病院に勤務する看護師は3万5千人です。7対1看護を急性期を担う病院のうち少なくとも300床程度の中核的医療機関全てで取得できるようにすることが要求であり看護師が最低1.5倍以上は必要です。
 300ベッド以上病院の合計を7対1に移行させるには1万7,000人以上増員が必要で現行計画にプラス+1万7000人以上でつまり8万3000人以上は最低限のため10万人を要求しています。

参考 愛知県内の病院総数は現在350病院で、300床以上の病院数は66病院
 66病院のベッド総数       3万1,423ベッド
 300床以上病院に占める7対1看護数 66病院うち28病院・42%(ようやっと2病院に1つ!)

参考 愛知県地域保健医療計画(4疾病→国民病対策 がん心筋梗塞・糖尿病等プラス5事業)
愛知県地域保険医療計画での拠点病院は46病院
 拠点病院 7対1看護基準取得状況 46病院うち23病院・51%(拠点病院が5割の取得?!)
 現在の  7対1看護基準取得状況(2009年8月末現在)
  取得は、全部の病院をあわせて48病院

(注-3)2009年「夜勤実態調査結果・愛知版(医療機関)」
夜勤回数状況は、4割近い看護師が法律を超える夜勤実態!
看護職員確保法の1人あたり月最高8日までを基準とし月9回以上の人数をカウント
夜勤者総数4,088人に対し9日以上の人数は、全体で1,505人にのぼり、愛知では夜勤者総数の37%で全国平均の2割(日本医労連全国調査)を大きく超える夜勤実態の中で、看護労働を行っていると言えます。

(1)調査概要  回収は加盟組合42カ所のうち、20組合・支部(47.6%)
         20施設(内訳 国立3施設、公的5施設、民間7施設、大學1、自治体4施設)
(2)特徴点
1.病棟数は、178病棟
  看護基準取得状況は、10対1看護が10施設
            7対1看護が10施設(大學1、公的2、民間4、自治体3)
            集計施設には13対1看護基準は、なし
2.看護職員配置数
  ベッド総数に対する配置数 1.97人(3,916人・正規看護師のみ。100%稼働の場合)
  実際には看護職員の配置数 1.77人(90%程稼働と想定、平均稼働率から)
3.夜勤者総数 看護職員総数4,574人に対し4,088人で89%、ベッド対比1.915人
                         (90%程度稼働で1.69人)

<2> 医師不足で生じている問題点や地域医療確保のための愛知県の施策拡充を訴え

 看護師増員の課題に続いて、医師不足問題解消や地域医療確保の要求課題も発言がされました。

(1) 高度な救急医療やや急性期を担う比較的大きな病院の課題について、以下の発言がありました。
 「救急体制を整備するというが、地域ごとに救急を確保しないと一点集中型ではとても無理だ(半田病院)」「東三河地域を中心に救急医療を担っているが、高度な医療展開で救急患者が幅広く集まり豊橋市民は3割、それで豊橋市民は大きな赤字、病院他の自治体からも患者受け入れ自治体(市)を超える役割を果たす病院だけに負担を押しつけはひどい。県や国は財政援助の検討を(豊橋市民病院)」「産科が危機的な状態。蒲郡市民や豊川市民は3人から2人体制で分娩ができなくなった。東三河地域でいま、分娩が出来るのは、豊橋市民と民間産科だけ、もっと産科確保に財政措置を(豊川市民)」

(2) 2次救急体制など地域で医療を担う中小病院の役割の発揮と現状の課題については、「医師も不足だが看護師不足で救急当番を返上した、日頃から通い慣れた患者さんは、歩いてゆける距離で救急をやって欲しい、夜間など心細いと訴えがある。救急整備は、中小病院も含めた連携が大事でないか(医療法人名南会)」

(3) 公的な病院の必要性とあり方として、慢性期や貧困や高齢化地域のなかでの大切な役割発揮に関しては、突然に、民間への売却がもちあがっている名古屋市の城西病院からも発言がありました。「周辺に急性期病院は、あるからと突然、市民病院でなくてよいと乱暴な話。救急以外にも、中村・中川地域は高齢者がなごやしないでも突出し、貧困率も高い。採算をまず考えなければならない民間病院と違い、公的な医療の必要が存在している、民営化は中止を」との発言でした。

<3> 医労連から、まとめと要望

  最後に医労連・原副執行委員長から、そして、「10万人看護体制への要求は極めて強い、本日提出したのは3万人分、しかしこれは県民すべての願いであることを、しっかり愛知県は受け止めてもらいたい」として「看護増員」「地域医療確保要求」で以下の2つの柱で、再度強く県に要望しました。

 (1) 来年12月に策定される予定の「第7次看護職員需給見通し」の策定にあたっては、現状で発生している問題点を受け止めて策定時の「考え方」とするかどうか、1つの検討材料とすること。
 1.看護職員確保法の8日夜勤を超える違反状態を解消すること、 2.前回、第6次需給見通しの策定以降に新設された7対1看護基準による増員を超える増員を見込んで策定すること。

 (2) 地域医療確保の要求を受け止めた行政措置と予算増を行うこと。
 次の3点。 1.高度な救急医療を担う病院に対する対応の強化(自治体を超える救急患者の搬送に対する財政援助など) 2.地域の2次救急など地域ごとの救急体制を確保し、3次救急とともにドミノ倒しとならないように民間中・小病院を含む救急医療体制の確立を図ること、 3.公的病院の果たす役割は、必ずしも高度な救急医療を行う場だけでない。地域住民の医療確保し、いのちを守るため、役割を果たしている公的病院に対する支援も強化することが、必要。 
 大病院も中小病院も大切だし、救急医療を担う病院も慢性期病院もどちらも欠かせない、だから、どの病院であっても、それぞれが大切な役割を果たしていることを、愛知県は、受け止めてほしい。そのことを、しっかりと医療行政に反映をさせて欲しい。
 愛知県には、引き続く努力をお願いする、と述べて交渉を終了しました。

【愛知県交渉・参加者】     合計14組合・29名のみなさん、ご苦労様でした!
全国組合 全医労4(愛知地区1 、東尾張3)、国共東海1、健保労組中京1
民医連  南生協2、みなと生協1、名南会1
地場   なごや福祉施設協会1
自治労連 県本部1、名古屋市民2、豊橋市民5、豊川市民2、新城市民1 半田市民1、     春日井市民1、蒲郡市民1
書記局3

公開:2010年1月22日   カテゴリー: