【09.10.21】2009年10月20日秋闘速報21 第7回・介護セミナー24組合・施設事業所から74名が参加

記念講演:田部井 康夫さん 介護の原点が問われる時代に

第7回・介護セミナーに
24組合・施設事業所から74名が参加

学習講演会と入所・在宅通所系施設・事業種別で実践交流
組合のない介護施設・事業所からも参加

愛知県下のどの職場でも介護交付金を100%申請し、1万5千円の  賃あげを行わせよう
◆ 2010年介護保険の抜本的な見直し改善を進めよう
  そのために大きく広げよう・・・!「仲間の輪」「運動の輪」
◆ 医師、看護・介護労働者ふやせの新たな署名等、350筆、組合加  入者1名、希望者も2名・・・なかまも増えました!
 第7回目になる「介護セミナー」を10月18(日)金山労働会館で開催しました。加盟組合から10組合、組合のない施設や事業所からも参加し成功しました。回収された約30枚のアンケートには「いろんな職場の状況や取り組みが聞けてよかった」「普段、横のつながりが持てないので、こういった機会がもって作れるとよい」等、新しい介護のネットワークが広がりました。また、医労連共済のお勧めに対し、グループホームで働く青年1名が組合員に加入。アンケートにも2名のケアマネさんが加入の希望者。当日会場で訴えた署名は350筆が集約されました。
 つながりもなかった1人ぼっちの介護労働者が愛知医労連と出会い、仲間がいることを知り励ましをもらうことは、本当に嬉しいことです。何より、個人加盟の組合員の仲間が増えたことも、大きな成果でした。

◆概要◆元気になれるセミナーでエネルギーを共有しよう
 全体会では主催者を代表し、永田副委員長(なごや福祉施設協会・ケアマネージャー)が、あいさつ。午前は、記念講演、続いて石田副委員長から介護をめぐる情勢と運動方向の「行動提起」が行われました。
 午後からは、実践交流会、そして全体会で原副執行委員長が「まとめ」を行いました。 「介護労働者の深刻な実態にようやく光を当てさせ、低い賃金改善とそのための春の3%報酬アップ、そして10月からの補助金支給による大幅賃上げを政府に認めさせるところまで、たどり着いた。(1)しかし、政府の発表では、まだ補助金申請は48%とという、組合のある職場は全部獲得した。組合のない職場の知人友人にも声を掛け、すべての職場の介護労働者が賃上げされ、退職することなく職場で頑張れるように力をあわせよう、(2)来年の介護保険制度見直しへ、「保険あって介護なし」という実態改善のために、今こそ運動の輪を広げよう、署名を大いに取り組もう (3)そのためにも仲間をふやすことが、大事。仲間の輪をいっそう広げようと強調しました。

家族を介護した経験から・・・そして専門家として認知症の取り組みを紹介
いままさに、介護の原点が問われる時代に

「認知症の方に寄り添う。家族の思い・みんなの思い」
田部井 康夫氏( 社団法人認知症の人と家族の会・理事、医療法人同人会「デイみさと」管理者 )

 講演会は「認知症の方に寄り添う。家族の思い・みんなの思い」と題して行われました。田部井氏は、家族を会議した経験から、そして、現在もデイサービスの所長として、ケアマネとして、いくつもの立場から認知症や介護を考えてみたいとしました。

認知症の人と家族の会の経過と取り組み

 はじめに、実母を介護した20年前の状況について、認知症自体がしっかりとまだ診断されない状態で、
と言われ、家族や本人の集まりもなかった、そんな時代の中で、本来は本人の人権が最優先、しかしいまはまず、家族が大変!なんとかしようと、活動を開始した。
 「集い」を開き、みんなで支え合った。電話相談や、会報も発行、介護自殺や無理心中も多発して、何とか、生きて欲しいという気持ちからだった。介護で疲れ果てた家族を、孤立させない取り組みの数々。悩みを共有し、解決策を共に考える会は、いま、全国1万人、愛知は600人の会員、会員が多数の県では、テーマ別や男性介護者の集まりや様々な取り組みがされていることが紹介されました。
家族の大変さを救う会から、本人の人権尊重へ
認知症に関する考え方の転換点と、人間の尊厳

 そういった活動の転換期は、尊厳死協会が、認知症をリビングウイル(=尊厳死に認定する)ことが発端だった。なぜ、認知症が尊厳死の対象なのか!?という家族としての怒りと憤り・・・。認知症がイメージでとらえられていることからの偏見に対し、本人と社会的な理解を広げるあらたな活動の出発に。
尊厳死の対象(「尊厳死協会」)
認定する場合の主な理由
  ◇ 死期が迫っている
  ◇ いちじるしい痛みがある など
認知症の人と家族の会が、協会に申し入れ(1995年)
  ◇ 認知症の新時代
    クリスティーングライアン氏が認知症に負けず講演会(オーストラリア)
  ◇ 不治の病から、という受け止めから・・・・どうしたら直せるのか、研究も進む

 辛さを抱えながらも生きたい、との思い。治らない認知症への受け止めから、どうしたら直せるのか、の発展へ。社会的な取り組みが進みました。オーストラリアの認知症の患者自身が講演会し、まわっているそんな時代に変化した。そんなアピールを認知症の人と家族の会のリーフ「死なないで、殺さないで、生きよう」キャンペーン」で広げようとしている。コンビニにも、役所にも、どこでもお願いに回った。
30年間の会の活動は、いまは、家族の会から大きな発展を遂げた。
介護心中、介護殺人
 10年間に350人を超える
 認知症の人と家族の会のリーフ「死なないで、殺さないで、生きよう」に大きな反応
 わずかに、1ヶ月で85通の手紙が届いた「死ぬことを止まり、乗り越えた」

専門家として、認知症に向き合う、家族に接する心構え

 いまは、介護を提供する側・専門家の立場だが、家族には、次のような立場で接している。 自分自身が家族として、介護に付かれた自分が、家族に優しくなれないことを責め続け、とても辛かったことを覚えている。それは、(1)責めないこと、(2)説得しようとしないこと、(3)指導しないこと、できるだけ、自然に良い形にたどりつけるようにサポートを心がけている。
 認知症が病態であり治せるものと考えれば、医療への比重が高まる。ケアを考えると、認知症は病態だけでははかれない、極めて人間的な病気である、として認知症の認識と介護のプロ・専門家としての関わりに関して語りました。
「認知症による妄想」なら、本人に向き合い、寄り添い、そして、その思いを知ろうとする介護に働く労働者の価値がある。なぜなら、行動や言動は、その人が歩んできた人生の中の心の動きに、原因があると考えられるから。不安感がなにから来ているのかに、たどり着ければ、解決できる。そこにどれだけ、迫れるのか、介護者の専門性は、そこに豊かな感性と想像力が求められると思う。
認知症のケアは、人生の心の中の動きにたどり着き、その人の思いを共有できるか
※ もの盗られ妄想
 大切なものは、目に付かない場所に・・・しかし、忘れて・自分が忘れたというよりも、 誰かに盗まれたのでないか、と疑う。それは、大事なものだから、盗まれまい、とう心の 反動でもある。
※ 嫉妬妄想(しっと・・)
 自分の人生に対し様々な思いを描いていたが、実現できなかったことで、悔やまれた思い が残り、他人へのせいにしてしまう。その人の歩んできた人生の問題が反映。

 認知症での妄想への対応やケアは、デイみさとでは、職員に対しともかく丁寧な対応を心がけることを大切にと言っている。スキル(技術)の恒常ももちろん、大切であるけれども、それにも増して大事なのは、認知症介護では、その人の人生の傷に心を寄せ、たどりついて、共感してケアをしてあげられるかどうか。そしてもう一つ、例え、原因にたどり着けなくても・・・・それでも、ただ、介護者としてその人にしっかりと寄り添ってあげることだけでも、心は通じるものです、と締めくくりました。

この間の人材不足で・・・良い介護には、条件整備が不可欠の立場。
しかし、どの施設事業所にも、まずは、賃上げと定着の改善を行うことが、まずは大事でないか

 最後に、家族の会として厚生労働省と話し合いの機会があり、厚労省は「がんばってよい看護をしている所に報酬を充てたい」としたことを聞いて「どの施設事業所も、一律引き上げることで、まずは、人材を集めることが大事、そう思った」として、労働組合に対する期待を表明されました。

入所施設、在宅・通所事業所の2カ所に分かれて「実践交流会」

良い仕事がしたい!他で、どんな実践をしているか知りたい
(1)療養型病院 (2)老健・特養ホーム・グループホーム (3)デイサービス
(4)訪問看護、ホームヘルパー、ケアマネージャー
 午後からの実践交流会では各施設で、よい介護の実践と悩みや工夫、そして労働条件に関する交流が行われました。

(1)入所施設の分科会(療養型病棟、老健、特養ホーム、グループホーム)

 分科会では、共通する話題が論議になりました。 まず、記念講演の感想では、家族介護に対する思いについて、出されましたが、さまざま意見はあれども、「家族でも仕事でも、やはり優しい気持ちで、十分に寄り添うケアがしたい」で一致。同時に「ゆとりがないと、とてもできない。だからやっぱり人員増しかない」との結論で、やっぱりがんばって要求しよう、と。
 賃金労働条件での交流では、特養、老健、グルー歩ホームを問わず参加したすべての施設事業所では、賃上げの予定であることが報告されました。また、この間の国のやり方では、実は春に3%支給がより多くあたった施設(人員体制が厚い、資格者が多い、条件が多い等)は報酬が増加しており10月からのこうふきんの基礎額も増加しているので、一層の人員増になっている、とされました。ある特養からは、3%アップで看護師やケアマネにベースアップが行われ、10月からも基本給に当たる手当てを支給してみな喜んでいる、との発言があり、盛り上がりました。
 また、人手が無く一番、も0んだいを抱えるのは夜勤の時間帯、一人夜勤の禁止や夜勤者の増加の対生保居の重要性が語られました。

(2)在宅、通所事業所の分科会(デイサービス、訪問看護、ホームヘルパー、ケアマネイジャー)

 デイをめぐっては、毎回の感じですが、利用者さんに満足してもらえるケアで、いかにして通い続けてもらえるのか、そのために、どうしたらよいのか、。の工夫が論議になりました。利用者も個々に差が大きく、家に帰るまでひと言も話さない方がいたりで、そういった方達にどう接するのか、家族との接し方も意見がでました。さらに、デイでの看護師の役割についても、介護職との連携をどうとるのか、悩みも出されました。
 ヘルパーからは、認知症の利用者のお宅へのヘルプで、訪問の4日後に尋ねてみたら、放置されたままの状態だったことがあり、そんな場合にどうするか、・・・参加のケアマネからは、ホームヘルパーとケアマネとの連携の重要性が、指摘されました。また、虐待行為がいまだに多数きかれるなかで、対応の方法なども、もっと知らせる必要があると、話題になりました。
 介護の交付金は、みなと生協では1万5千円が支給された報告もあり、嬉しい報告のあった一方で、ケアマネは対象外で制度の不十分さも痛感する内容になりました。

<セミナーに参加の組合組織及び「施設・事業種別」施設数>

分科会名     組合名 その他の事業所数  計
◇療養型病棟    1組合  0施設・病院  1施設・病院(昨年3施設)
◇老健・特養 3組合  4施設     7施設(昨年7施設)
 ・グループホーム
◇デイサービス   3組合  2事業所    5事業所(昨年9施設)
◇訪問看護     5組合  3事業所    8事業所(昨年6施設)
 ・ケアマネ・ホームヘルパー

参加組合及びセミナー運営にご協力頂いた組合 有り難うございました
なごや福祉施設協会労組、今井あんきの家、国共東海、健保中京、民医連・南、みなと、名南会、北、尾張、愛知民医連事務局、全医労東尾張、全医労愛知地区、全医労東海北陸地方協議会(以上)

公開:2009年10月21日   カテゴリー: