【08.10.09】【秋闘速報(11)2008年10月6日】

第6回・介護セミナーに 11組合・9施設事業所から60名が参加

第6回・介護セミナーに
11組合・9施設事業所から60名が参加

学習講演会と施設・事業種別「4分科会」で、実践交流
組合のない介護施設・事業所からも参加

◆09年介護報酬アップへ
 生活できる賃金にさせよう
展望を切り開くため
大きく広げよう・・・!
「仲間の輪」「運動の輪」

◆ 看護・介護労働者ふやせの署名290筆、共済に加入の希望者も2名
第6回目になる「介護セミナー」を
10月5(日)金山労働会館で開催しました。加盟組合から11組合、組合のない施設や事業所からも参加し成功しました。回収された約40枚のアンケートには「いろんな職場の状況や取り組みが聞けてよかった」「普段、横のつながりが持てないので、こういった機会がもって作れるとよい」等、新しい介護のネットワークが広がりました。また、医労連共済のお勧めに対し、アンケートに共済加入したいと2名の希望者も。
当日会場で訴えた署名は290筆が集約されました。
 つながりもなかった1人ぼっちの介護労働者が愛知医労連と出会い、仲間がいることを知り励ましをもらうことは、本当に嬉しいことです。何より、個人加盟の組合員の仲間が増えたことも、大きな成果でした。

◆概要◆元気になれるセミナーでエネルギーを共有しよう
 全体会では主催者を代表し石田恵子介護部会長(みなと医療生協・ケアマネージャー)が、医療と介護は、切っても切れない関係。ひとりの人をしっかりみて、サポートするためにも、今の過酷な労働実態を改善しましょう。とあいさつ。
 午前は、記念講演、永田介護部会・事務局長から介護をめぐる情勢と運動方向の「問題提起」。午後からは、実践交流会、そして全体会で原書記長が「まとめ」を行い「介護労働者の深刻な実態にようやく光を当てさせ、低い賃金改善とそのための報酬アップを政府に認めさせるところまで、たどり着いた。大幅アップ改定へ (1)運動の輪を広げよう、署名を大いに取り組もう (2)運動するには、仲間をふやすことが、大事。仲間の輪をいっそう広げようと強調しました。
介護殺人の加害者は、70%が男性介護者!
介護心中など、家族による悲劇を無くしたい

家族介護、とくに男性介護者の心理的支援を地域で進める重要性が語られる
  (「心のケアサポートスマイルウエイ・NPO法人」西山良孝代表)

 講演会は「介護者の心のケアサポート」と題して行われました。西山氏は、始めに介護が必要な老母を54歳の息子が殺してしまった「京都の親子殺人事件」の判決に触れ、生活保護を申請したが役所からは若いとの理由で、申請は却下され、家賃が払えない所まで追い込まれて、母親を殺人。判決で裁判長は「息子は介護に一生懸命だったと評判で、警察の検死でも背中に褥瘡・じょくそうは全くなかった」と息子の母親思いの姿を語りながらも、有罪としたことに対し「深い悲しみと憤りを感じた」と、行政への批判と共に、介護地獄に苦しみながらも、孤独のなかで、制度利用や社会的なサポートを受けきれない家族介護の実態をなんとか、したいとして、地域で「男性介護者の集い」を実践を開始したことが紹介されました。
 講演・資料から
 「介護殺人などの加害者の70%以上が男性」
  ◇ 介護殺人 年・30件発生 加害者は男性(被害者は女性)
  ◇ 介護殺人・介護心中事件の加害者(日本福祉大学・加藤悦子講師調べ)
    1998年から2005年 258件発生(被害者が60歳以上の場合)
     加害者の内訳 夫 ・34.8%
            息子・33.7% →加害者の68%が夫と息子
            妻 ・14.8%
            娘 ・7.6%

地域での「男性介護者のつどい」の活動紹介。その実践の中から見えてきた、男性家族・介護者の心理
・・・対応は、まず、(1)共感→(2)(お説教でなく)語り合いう場、が大事

 講演会では、兵庫県・宝塚市内を中心に「男性家族介護者を励ます集い」の活動が紹介されました。当初、行政も情報を出さない、だれがどこで悩んでいるのかも解らない状態。そして、制度で保障されておらず、活動費用がない、など様々な障害を乗り越えながら、ひとり一人に向き合いながら、地域での集いを拠点に、口コミで男性介護者自身が、支え合い・励まし合いの素晴らしさを仲間に語りながら会を進めてきた経験が報告されました。
 そして、集いの中で、家族男性・介護者の心理面や共通点が報告されました。
具体的には、「自尊心が強い」「責任感が強い」「人つきあいが苦手」「家事が苦手」などです。これらの対応として「つどい」の中では、(1)完璧さを目指さない・疲れ切ってしまう (2)男のプライド、世間体(せけんてい)を捨ててもらう (3)家に閉じこもりがちにならない、友達を見つける、等を経験が紹介されました。
 以上を互いに支え合うために「男性介護者のつどい」が計画され、活動のモットーは、(1)つどい、を継続しもっともっと孤独な男性介護者の参加の機会を増やす (2)男性特有の配慮が必要なことを社会的に理解してもらう、ことだと述べました。

男性家族・介護者の悲劇を無くすため、全国ネットワークが来年、発足!
 最後に、「男性家族・介護者のつどい」は、全国にまだ、3カ所しかない実態であり、社会的に広げる必要がある。来年には、「全国ネットワーク」が発足する予定であることも紹介されました。
「男性家族・介護者の全国ネットワーク」
 平成21年3月発足予定 よびかけ 立命館大学教授・津止教授(つどめ)
                  樋口恵子氏ら

次々とマスコミ各社が注目、「みのもんたの朝ズバ」。「テレビ朝日」からも取材依頼・・・「もっともっと、先進的な取り組みが全国に広がって欲しいです(参加者・アンケートから)」
 講演後には、セミナーの翌日10/6(月)にNPO法人・スマイルウエイの活動が、「朝ズバ(みのもんた)」で放映され、その後、テレビ朝日からも取材要請を受けているそうです。また、参加者の感想でも、「介護家族の殺人や心中など事件で男性介護者の実態と、心理面での葛藤や共通点などが、よくわかった」「家族をサポートする重要な活動は、ぜひ、全国に大きく広がって欲しい」と介護労働者自身が共感、感動し、エールを送る参加者も多数でした。

施設・事業種別「4分科会=実践交流会」の概要報告 良い仕事がしたい!他で、どんな実践をしているか知りたい
(1)療養型病院 (2)老健・特養ホーム・グループホーム (3)デイサービス
(4)訪問看護、ホームヘルパー、ケアマネージャー
 4分科会では各施設で、よい介護の実践と悩みや工夫、そして労働条件に関する交流が行われました。

(1)療養型病棟
 個別ケアでは、おむつを自分で外してしまう患者さんにも、一律対応ではなく、その患者さんが、なぜ、自分で外すのか理由を考えて、おむつに頼らずに尿器を使っておしっこをとってみるとか、対応を工夫しながら実践していることが話題になりました。また、寝たきりの患者が半数程度の場合も多いのが通常で、全員は人手もなく無理ですが、昼の時間にはストレッチャーで食堂に連れていったり、と工夫しながら対応している事例なども共通した取り組みが報告されました。賃金は全体に安いと感じるが、参加した施設では、2カ所で夜勤手当で看護も介護職も金額に差が無く、退職者も少ないないとの報告もされました。

(2)老健、特養ホーム、グループホーム
 はじめにお互いの聞きたいこと知りたいことを出し合って、交流。研修会の扱いでは、対外的な講習会を研修に位置づけて、業務扱いで順番に送り出している施設や、時間外だが手当は支給されていることが話題になりました。しかし、勉強会やミーティングは、時間外の扱いはバラつきがありました。安全衛生活動は、腰痛対策での教育や、コルセット支給で、本人負担なしの施設もあるなど交流がふかまりました。
 よい介護の努力や工夫では、入浴で「個浴」でがんばっている施設から、90人もの利用者を流れ作業のように見るしかない、など施設によって大きな開きがあることが改めて出されました。さらに家族とのコミュニケーションに対しても、できるだけ面会の回数を増やしてもらう工夫や町内会にレクを招待するなど、地域に開かれた施設展開に努力する姿も出されました。

(3)デイサービス
 利用者が10人の小規模から50名の大規模デイまでが参加し交流。デイは、レクをどう成功させるか、が共通した論議に。これからの時期の秋祭りや日常のレクの内容を情報交換。なかなか、個別対応の面で、どの事業所も難しさを抱えていることが出されました。実践上では、地域ボランティアの協力や保育園と連携してこども達による演奏会などの工夫も、しかし、予算の関係があって苦慮している。
 利用者の確保では、デイの内容をケアマネさんに知ってもらうことでプラスに。
 人材の確保でも離職率が高いことについて、実習から定着してもらう努力がされていることや、賃金は、夜勤がないため手当てもなく、生活できない賃金ですが、分科会に参加した経営者の方からは、パートの時給をアップしたら辞めずに働いてくれたことの紹介もされました。

(4)訪問看護、ホームヘルパー
ケアマネイジャー
 仕事をする中で苦労している点や工夫を交流。ヘルパーからは介護保険での仕事の範囲が狭まる中、要求も苦労も多い。すべてヘルパーが行うのでなく利用者と一緒に行うことで利用者がイキイキしてきた経験が話され、誰でも役割や出番があることが喜びであり介護でもそういう工夫が大事と確認。
 訪問看護からは夫が介護している妻に対し虐待があり、サービス導入しようとしても拒否。オムツかぶれがひどくなり褥創もできて、訪問看護が入り、どうにかつながっているが、今後どう支援をしていけばいいか。まさに男性介護者の持つ問題に。
 医療依存度の高い利用者が在宅に戻るケースが増、十分環境が整わないまま退院してくるケースも少なくない。名古屋市内でも一定規模の病院では地域医療連携室があるが、まだ十分機能しているとはいえない。(西尾市)では吸引など医療行為が必要な場合は家族やヘルパーにも指導して準備をしてから自宅にもどれるような連携が図れているとの報告に、連携の強化が求められていることが報告されました。
 ケアマネからは、担当の利用者が複数の自治体をまたぐ場合、自治体により介護保険の施策が異なり対応への苦労や、ひとりケアマネだと困難な事例を相談できない悩み、担当の変更ができないなどの悩みが。利用者を担当する各サービス事業所との情報交換や連携がもっと必要との意見も(訪問しているヘルパーと直接対話も含め)

<セミナーに参加の組合組織及び「施設・事業種別」施設数>

分科会名     組合名 その他の事業所数  計
◇療養型病棟    3組合  0施設・病院  3施設・病院(昨年6施設)
◇老健・特養 4組合  3施設     7施設(昨年15施設)
 ・グループホーム
◇デイサービス   6組合  3事業所    9事業所(昨年10施設)
◇訪問看護     4組合  2事業所    6事業所(昨年11施設)
 ・ケアマネ・ホームヘルパー

参加組合及びセミナー運営にご協力頂いた組合 有り難うございました
なごや福祉施設協会労組、愛厚労知多支部、同・厚美支部、国共東海、健保中京
民医連・南、みなと、名南会、北、尾張、全医労東尾張(以上)

公開:2008年10月9日   カテゴリー: