【08.03.26】2008/03/24 「日本医労連 介護・福祉労働者実態調査」結果がまとまる。愛知県下965名の介護施設にはたらく人から調査を回収。

<愛知県 介護・福祉労働者実態調査の結果がまとまる>

愛知県965名集約結果【介護労働者実態調査結果2008/03/25】PDF参照107KB

愛知県医労連・「介護・福祉労働者の労働実態調査」結果(報告)
       
       2008/03/24 愛知県医療介護福祉労働組合連合会

「充実した介護のために今すぐ賃金の改善と増員で、安心して働ける条件が不可欠」

1.愛知県下の介護・ヘルパー労働者から計965名を集約

介護労働者の確保のために低すぎる介護報酬を引き上げ、仕事に見合った適切な給与水準への改善と劣悪な労働実態の改善を求めて、愛知県医労連が昨年12月から取り組んできた『介護・福祉労働者の労働実態調査』の集計がまとまりました。県内の医労連に加盟する介護施設やヘルパーなどに勤務する職員を対象に、加盟組織621名と地域の介護施設などに呼びかけて組合未加盟組織344名の計965名から調査を集約し、集計の結果と特徴点をまとめたので報告します。

2.賃金が20.3万円で他産業より12.7万円低い

「賃金総額」の平均が20.3万円という低賃金で、全産業労働者の平均給与総額の33万円から、12.7万円低い結果となりました。訪問介護労働者(ホームヘルパー)においては、16.8万円(他産業比16.2万円低い)となっています。パートの時間給の平均は999円で、そのうち時給1000円未満は回答者の46.5%とほぼ半数を占める状況となっています。

3.「健康不安・病気がち」が4割以上、5割が「職場をやめたい」

(1)人員不足の中で、介護職場の労働者の健康が侵されています。「健康状態」の設問に対し、「健康である」と回答したのは(50.3%)5割ですが、「健康に不安」(35.3%)、「大変に不安」(5.6%)、「病気がちで健康とはいえない」(1.9%)を合わせると4割以上が「健康不安・病気がち」といえます。
(2)「疲れの回復具合」も、「疲れを感じない」のは2.9%にすぎず、「疲れが翌日に残ることが多い」(36.1%)、「休日でも回復せず、いつも疲れている」(16.7%)と、「慢性疲労状態」が5割以上で、特に25~30歳未満の若年での慢性疲労が6割と深刻になっています。
(3)このような労働実態、疲労・健康状態の中で、離職が進行しています。「仕事をやめたい」という設問に、「いつもあった」(10.3%)、「しばしばあった」(19.3%)、「時々あった」(20.3%)と、49.9%が仕事をやめたいと考えており、「なかった」は21.7%にすぎません。特に25歳~30歳が6割を超えて「職場をやめたい」と考えています。
(4)やめたい理由の第1は、「賃金が低いから」(50.6%)、第2に「仕事が忙しすぎるから」(40.6%)、第3に「仕事の達成感・やりがいがないから」(18.6%)、第4に「社会的評価が低いから」(17.4%)と答えています。
(5)「介護・福祉の仕事をしていく上での不安」の設問に、「将来の生活不安」(35.3%)、「健康面の不安」(34.4%)、事故を起こす不安(13.1%)、「現在の生活不安」(6.8%)が回答され、生活していける賃金と、安全な人員体制を求める回答となっています。

4.利用者の「事故の原因」は「現場の忙しさ」6割超え、「十分なサービスができない」理由は「人員が少なく業務が過密」が7割

(1)人員不足による過密労働によって、利用者の安全も脅かされています。「利用者への事故」は5割以上が起こしており、事故が起こった内容は転倒が最も多く、46.3%と答えています。「事故が起きる原因」は3つまでの回答で、「現場の忙しさ」(66.0%)、「人員不足」(49.4%)、「知識や技術の未熟さ」(48.1%)を回答しています。
(2)「利用者に十分なサービスが提供できているか」の設問には、「できている」はわずか4.7%に過ぎません。「十分なサービスができていない理由」には、「人員が少なく業務が過密になっている」(71.8%)が7割を超え、人員不足のために十分なサービスができない結果となりました。
(3)十分なサービスができない理由の二つ目は、「自分の能力や技量の不足」(25.0%)、3つ目に「職場のメンバーの出入りが多く、経験の蓄積がない」(24.1%)が回答されており、「勤続年数」の設問には、「1年未満」(14.6%)、「1~3年未満」(25.4%)、「3~5年未満」(21.3%)と、経験の浅い5年未満の勤続が6割を占めており、自分の能力不足や介護の蓄積が感じられないと思っています。
(4)「自由記入欄」の、「介護労働や利用者の処遇改善への要望」では、「賃金を上げ人員を増やす」勤務状況の改善、「介護報酬・社会保障費増」、「利用者負担軽減、サービスの向上」の要望が多く出されています。 

5.介護労働者の人材確保のための私たちの要求

充実した介護のために、介護職場の深刻な人手不足と賃金の改善は急務です。このままでは、介護の担い手が減り続け、制度そのものを維持することができなくなる事態が生じかねません。
生活できる賃金の改善と増員で、定着できる介護職場、研修制度の保障で専門性を高め、生き生きと誇りを持てる介護職場の労働環境をつくることが私たちの要求です。その裏付けとなる介護報酬の引き上げを求めて、事業所とも共同し運動をすすめていきます。

公開:2008年3月26日   カテゴリー: