‶燃え尽きる″日本の看護師
【2008年1月15日京都新聞より】
東京女子医大看護学部・金井パック雅子教授が看護師の労働環境調査
金井教授らは、アメリカペンシルバニア大学のリンダ・エイケン教授と共同して看護師の労働環境を調べた。
日本の調査は2005年に大学病院など全国19の病院に勤務する看護師約7100人に聞き、約6000人から回答を得た。
エイケン教授が1998・99年に同じ質問票で実施したアメリカ・カナダ・欧州の調査と比べた。
日本の看護師は、高い燃えつき(バーンアウト)と答えた割合が58%で、米国の43%、ドイツの15%などより高かった。エイケン教授から「燃えつきがこんなに多いなんて、信じられない。データー処理など何かの間違いではないか」と疑問が出たくらいだ。
現在の仕事に満足していない看護師も、日本は60%に達し、欧米より多かった。退職を希望する看護師は4割近くいた。満足できる魅力的な職場づくりが必要といえる。
「看護師と医師の関係が良好」と答えた看護師の割合は、欧米で80%以上だったが、日本は63%。人手不足を示すように、「仕事に十分なスタッフがいる」との回答は、欧米の約30%に対して、日本は19%にとどまった。
薬を間違える誤薬や院内感染の経験は、日本の看護師が欧米より多く、ケアの質が問われそうだ。患者や家族からの苦情や言葉の暴力は日米ともほぼ同じで、約半数の看護師が「ある」と答えた。
金井教授は「日本の看護師は欧米より厳しい条件で仕事をしている。燃えつき率が高いのは問題で、支援体制など対策が急務だ」と話している。