介護サービスに営利企業の参入を進めてきた国の責任は重大。安全・安心への路線転換と低介護報酬の改善急務
営利化・低報酬の国の路線問い直す
-日本医労連西川書記長声明で改善要求-
訪問介護最大手のコムスンには、介護保険指定を受ける際、ヘルパー数の水増し等「虚偽申請」したため、厚労省から新規開設・更新を認めないよう全国に通知。コムスンは全国に約2081事業所を展開していますが今後、更新期限(6年間)を迎える事業所が順次廃止され2011年度には426カ所になり事業継続は困難になります。そのため利用者や介護従事者をはじめ国民を巻き込んだ社会問題になっています。
今回の事件の背景は、介護保険の発足当時から営利を目的の企業が参入できるようにした制度の結果です。人員配置基準も介護報酬も低く押さえられ、低い介護報酬のしわ寄せはヘルパー等労働者の犠牲や労働基準法違反を生み、サービスの質の低下と介護事故の増加にもつながっています。
日本医労連はこの事態に対し「書記長声明」を発表し国に対し、(1)介護サービス利用者への相談とサービスの継続、(2)この事件を生んだ「営利企業の参入」を進めた国の責任を厳しく追及し、(3)同時に、まともなサービス提供さえできない現在の「低介護報酬」の改善を求めています。【談話】
6月21日 愛知社会保障協議会も愛知県に対しに「緊急の申し入れ」行う
愛知では6月21日に県に対し愛知社保協が同様の要求で申し入れし県医労連・原書記長も参加。県に対し相談窓口の設置等の対応策で利用者不安やサービスの継続、労働者の雇用確保等を求め、県の高齢福祉課は、既に調査を開始しコムスンの県下87事業所のある60自治体に相談窓口を開設、利用者がサービスを継続できるよう緊急対策を講じていると報告、不正受給の有無を監査中で7月中には結果を公表するとしました。【PDF県への要請書】
NHKスペシャル「介護の人材が逃げてゆく」が大反響は介護不安と要求の表れ
NHKが3月に放映した番組が、大きな反響を呼びました。「超高齢社会」を支える介護の現場が深刻な人手不足に見舞われている実態を描いたものです。
厚労省は今後10年間で介護労働者を現在の100万人から150万人に増やす必要があると試算します、きつい仕事に見合わない低賃金が嫌われ1年間で4人に1人が辞める実態です。高級有料老人ホームなど一部の大型施設を除き、多くの施設が人手不足から介護の質も保てない状態。
この番組では世界一の高齢人口を抱える東京を舞台に施設同士の人材争奪戦、その裏で職員が次々と職場を去っていく現状、さらにその間隙を縫うように進出を窺うフィリピン人ヘルパー養成等を取材。国民の老後を支える介護現場で何が起きているのか、描いています。
若者が希望をもち働ける介護産業(職場)でなければ危機は打開できない
現在、介護業界全体が陥っている「人手不足」は、国の政策が作り出したものです。ですから、あまりに低い介護報酬等を私たちが共同を広げ国に大きく運動する必要があります。介護の労働者が働き続けられるかどうかは高齢者の生きる権利の保障を意味します。この問題は介護業界だけの問題ではなく全国民的課題です。
日本医労連は、7月の定期大会を期に新たな運動を開始します。(1)「福祉人材確保法」改正の国会請願署名の取り組み、(2)組合のある・なしを問わず「介護労働者の実態アンケート」を実施する (3)これらの運動を大きく広げるためのヘルパーや介護職場の組合員の拡大です。